事例詳細

調査・質問内容

ヒガンバナについて知りたい。

図書館からの回答

公開日 2024/03/27

ヒガンバナは、秋の彼岸の頃に咲くことからヒガンバナ(彼岸花)と名付けられ、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)のほか、たくさんの別名をもつヒガンバナ科の多年草です。花が咲いているときには葉がなく、葉のあるときには花がありません。花弁は6枚で細長く、鱗茎(りんけい)と呼ばれる球根により増えていきます。

ヒガンバナの球根には有毒な成分が複数含まれており、少し食べるだけでも嘔吐、下痢などの症状が現れ、大量に食べると死に至ります。また、触ると皮膚炎を引き起こすこともあります。毒の性質を利用し、モグラやネズミ、昆虫などの被害を防ぐために、田んぼのあぜ道などに植えることがあります。

一方、すりおろした球根は、民間療法では、打ち身や炎症などに貼り薬、乾かした粉や煎じた汁は漢方として咳止め、食中毒に効果があるとされています。また、含まれている成分が、近年、アルツハイマー型認知症の進行をおさえる治療薬としても注目されています。

ほかにも球根にはデンプンが豊富に含まれており、救荒植物(飢饉などで作物が不作だった年に、不足をしのぐために間に合わせた食糧)として、昭和9年(1934)に起きた東北地方の冷害飢饉では、毒を除いた後のデンプンを練って、団子にして食べたという記述があります。

参考文献

タイトル 注記
ヒガンバナのひみつ
四季の花事典 p248~253“ヒガンバナ”
毒をもつ生き物たち p52“第3章 薬になる毒 ヒガンバナから認知症の薬”
有毒!注意!危険植物大図鑑 p33“ヒガンバナ”
へんな毒すごい毒 p116~117“3-6植物毒の秘密 きれいな花には毒がある―ヒガンバナ、スイセン”
植物 奇跡の化学工場 p161~162“ヒガンバナ ―赤い花は秋の風物詩”
日本のひがんばな
散歩で見つける薬草図鑑 p119“ヒガンバナ”

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