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調査・質問内容

安井御所(右京区)について知りたい。

図書館からの回答

公開日 2022/12/26

安井御所は、かつて右京区にあった後白河天皇の娘である殷富門院亮子(いんぷもんいんりょうし)内親王の御所です。

殷富門院は、正治2年(1200)安井御所に真言宗の寺を建立しました。
寺は、殷富門院の弟以仁(もちひと)王の子である僧道尊(どうそん)に譲られ、蓮華光院と号しました。
『扶桑京華志』では、蓮華光院は安井村にあったとあります。また、『仁和寺史料 寺誌編1』にも蓮華光院について記されています。

蓮華光院は、土御門(つちみかど)天皇の子である道円(どうえん)法親王が住持となって以来、歴代法親王が入寺する門跡寺院となり、安井門跡とも称されました。

中世後期に一時衰えましたが、江戸時代初期に僧性演(しょうえん)により再興されます。元禄8年(1695)には、僧道恕(どうじょ)によって東山下河原に移転されましたが、明治維新後、次第に衰退します。
明治6年(1873)には大覚寺(現右京区)に寺号を移し、蓮華光院の鎮守社であった安井神社(安井金比羅宮)のみを東山下河原に残して、廃寺となりました。
現在、大覚寺には、蓮華光院の御影堂であった御霊殿(安井堂)が残されています。

参考文献

タイトル 注記
史料京都の歴史 14 右京区 p226~228“安井村”
仁和寺史料 寺誌編1 『御室相承記』所収p103“六 後高野御室”、『仁和寺諸堂記』所収p140、『仁和寺諸院家記』所収p186~187、p286~288
新修京都叢書 第22巻 『扶桑京華志』所収p137
昭和京都名所図会 2 p245~246“東山安井、p246~248“安井金比羅宮”
日本歴史地名大系 27 京都市の地名 p220~221“安井門跡跡”、p1026“安井村”、p1026~1027“蓮華光院跡”
日本歴史地名大系 27 京都市の地名 p220~221“安井門跡跡”、p1026“安井村”、p1026~1027“蓮華光院跡”
京都大事典 p987“蓮華光院”
古寺巡礼京都 28 大覚寺 新版 p29“御霊殿”
京都御役所向大概覚書 下巻 p67“「八」 山城國中 御朱印寺院之事”

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