事例詳細
調査・質問内容
八算(はっさん)について知りたい。
図書館からの回答
公開日 | 2021/01/28 |
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八算とは割り算九九とも言われ,主にそろばんで割り算をするときの計算方法として室町時代の末期から用いられていました。
掛け算の九九のように唱える割り算の割声(わりごえ)で,二の段から九の段まで8種類あるため八算といいます。
割る数,割られる数,商,余りの順に数字を並べた二一天作五(にいちてんさくのご)(10÷2=5)や二進一十(にしんがいちじゅう)(20÷2=10)などの割声を唱えながら計算を行います。
江戸前期の和算書『塵劫記』には八算の計算方法,割声が記されています。
また,明治初期に用いられていた教科書『和洋算法新書』にも八算の項目があります。
現在はそろばんで割り算をするときには,商を立てながら掛け算の九九を用いて計算するのが一般的となり,八算は使われなくなりました。
なお,「二進(にっち)も三進(さっち)も」という言葉は,八算の割声がもとになっており,二進(2÷2),三進(3÷3)がそれぞれ余りが出ずに割り切れることから,計算のやりくりのことを指します。そこから窮地に追い込まれて動きがとれないさまを表す「二進も三進もいかない」という言葉が用いられるようになりました。
参考文献
タイトル | 注記 |
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江戸の数学教科書 | p33~36“割り算の九九もあった”割声の表あり |
家庭の算数・数学百科 | p376~377“割り算九九” |
塵劫記 | p24~26“第七 八さん割りのこゑの事” |
『塵劫記』初版本 | p21~54“第6条 割算の九九(その1)第7条 割算の九九(その2)”,p230~236“割算の九九計算例” |
和算百科 | p35~36“1.八算” |
日本教科書大系 近代編 第10巻 | p477~484“八算” |
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