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調査・質問内容

鴨川の水源がある,北区の志明院(しみょういん)について知りたい。

図書館からの回答

公開日 2019/04/24

京都市北区雲ケ畑の志明院は,岩屋山金光峯寺(金峯寺)志明院といいます。
弘法大師が彫ったと伝えられる不動明王を本尊としており,岩屋不動とも呼ばれています。

本堂の裏には,鴨川の水源とされる飛竜の滝(岩屋の滝)や護摩洞窟,歌舞伎「鳴神」に登場する神降窟(しんこうくつ)などがあります。神降窟の内部には冷泉が湧き,この水を使うと病気がなおるとされてきました。

寺伝では,白雉元年(650),役小角(えんのおずぬ)が創建し,天長6年(829),淳和天皇が空海のためにお堂を建立したといわれています。平安時代初期,宇多天皇の頃に栄えましたが,中世になると荒廃し,貞和年間(1345~50)に足利氏の帰依を得て再建しました。
天保2年(1831)には,仁王門と鐘楼を残して焼失し,その後有志により再興しました。現在の本堂など主な建物は明治以降に建てられたものです。

山中には石楠花(しゃくなげ)が咲き誇り,毎年4月に行われる寺の大祭は,石楠花祭といわれています。

作家・岡部伊都子は『カラー花の寺京都』『京の川』で,司馬遼太郎は『司馬遼太郎が考えたこと 1』で,志明院を訪れたことを書き記しています。

参考文献

タイトル 注記
京都・山城寺院神社大事典 p317~318“志明院”
社寺縁起伝説辞典 p230“志明院”
洛北誌 p288~289“志明院”
新修京都叢書 第7巻 p362~367“岩屋山金峯寺”
鴨川周辺の史跡を歩く p8~17“二,源流より上賀茂まで”
京の民間医療信仰 p184~186“志明院(岩屋の香水)”
カラー花の寺京都 p85~96“岩屋山志明院 しゃくなげ”
京の川 p14~15“鴨川”
京の川 文学と歴史を歩く p14~17“鴨川”
司馬遼太郎が考えたこと 1 p37~47“石楠花妖話”

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