事例詳細
調査・質問内容
常盤の杜,常盤の森(ときわのもり)について知りたい。
図書館からの回答
公開日 | 2021/10/02 |
---|
“常盤の杜”は地誌によると,現在の京都市右京区常盤西町あたりにあったとされています。
また,古来から歌枕として,常盤の地は“常盤の杜”の他に“常盤の里”や“常盤の山”ともいわれ多用されています。
常盤の杜が詠まれた和歌に,能因法師の“時雨の雨染めかねてけり山城の 常盤の杜の槙の下葉は”があります。この歌のように,常盤という言葉が常緑と永久不変の意味を掛けて詠まれました。
他に,平安中期以降に成立した『狭衣物語』の中に“頼めこしいづら常盤の森やこれ 人頼めなる名にこそありけれ”という和歌があります。常盤の地に移り住んだ飛鳥井の女君が男主人公の狭衣大将を思い詠んだ歌で,狭衣大将の変わらない心と永久に変わらない常盤の森を掛けています。
その後の歌人たちは和歌に“常盤の杜”を詠むようになり,建保3年(1215)に成立した『内裏名所百首』の秋の歌題として選ばれ,一般的な歌枕として世に広まりました。
参考文献
タイトル | 注記 |
---|---|
史料京都の歴史 14 | p251“歌枕としても著名な常盤の里。” |
日本歴史地名大系 27 | p1044上“常盤杜” |
新修京都叢書 第15巻 | p260“常盤杜” |
歌ことば歌枕大辞典 | p596“常盤の杜” |
歌枕歌ことば辞典 | p292“常盤” |
新編日本古典文学全集 43 | p174“新古今和歌集 巻第六 冬歌” |
狭衣物語全註釈 7 | p66~78“八〇 狭衣,飛鳥井の女君が柱に記した和歌三首を見つける” |
群書類従 第11輯 | p278“常盤杜” |
1/1